中国アリババグループ創業者で大富豪の馬雲(ジャック・マー)氏が開いた非公式の夕食会の場で、自分はしがない自動車セールスマンだと語り始めた同席者に他のゲストは興味をかき立てられた。その人物とは、中国最大の不動産デベロッパーであり、負債の規模でも国内有数の中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)を率いる許家印会長(62)だ。この夕食会の数週間後、恒大集団は債権者と決着をつける重大局面を控えていた。このとき許氏が死に物狂いだったとしても、それを表に出すことはなかったと、杭州市の馬氏の自宅で行われた食事会に居合わせた関係者の一人は話す。許氏が売り込んだのは、自身にとって最も大胆なベンチャー事業、すなわち電気自動車(EV)製造に参入する計画だ。同社の公式声明によると、2025年までに米EV大手テスラなどを抜き、世界で「最大かつ最強」のEVメーカーになることを目指すという。
負債のしかかる中国恒大、異業種EVに賭ける危うさ
EV部門の恒大汽車は自動車をまだ1台も販売していない
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