また、日本人コミュニティーの中でワクチンを接種した人が多かったことも、ワクチン接種を受けるきっかけの一つになったと井戸さんは話す。

「(日本人コミュニティーの中で)副反応があって体調が悪くなるといった話も全く聞かなかった。中国国内の出張が多いので、打ったほうが安心して移動できる。

 また、現地では『強制的』に接種させられるようには感じなかった。そもそもコロナはもう収束しているため、地元の人々は受けなくても大丈夫と思っている人が多いようだ。それにワクチンの接種を受けなくても、別に生活が不自由になることはない。問題なくショッピングモールやオフィスビルに入ることができる」

「中国は一番安心な場所」
飲食店も明け方まで営業

 一足早く、状況が収束に向かいつつある中国。中国国内で生活している日本人は、中国と日本の今の状況をどう見ているのだろうか。

 前出の日系繊維メーカーに勤める遠山さんは、次のように話す。

「われわれ中国にいる人間は、中国のコロナ対策は功を奏したと感じている。日本の本社や知人などからよく心配されて『大丈夫ですか、気を付けてね』と言われて、ありがたいと思うが、『日本のほうが危ないんじゃない?』とつい言いたくなる。

 中国のコロナの収束という事実を、日本にいる日本人は認めないようだ。ただ実際、今の上海では、人が密集しているイベントでもマスクをしてない人が多い。そういう情景を見ると、これが現実だと思う」

 設計事務所に勤める桑村さんは、「今、世界中で中国は一番安心な場所」と話す。

「日本の皆さんに申し訳ないが、ほぼ毎晩遅くまで飲み歩いている人も少なくない。飲食店は明け方まで営業して混んでいるしね。日本とまるで違う世界にいる気分だ」(桑村さん)