北京五輪へ向けて
ワクチン接種ラストスパート

 中国にいる筆者の知人の医者によると、中国のワクチンの接種は日本とは異なり、まずは18歳〜59歳の人から始まった。若い人は社会活動が活発で、そうした人たちによる感染拡大を抑える必要があるとの理由である。反対に、60歳以上の高齢者の接種は最後に行われることになっている。

 上海市では、政府が5月17日に76歳以上の高齢者の接種を開始すると発表した。筆者の知人が経営する高齢者介護施設では、介護スタッフ全員の接種が終わっているものの、入居者はまだ一人も接種を受けていないそうだ。

 一般の人々の接種にあたっては、「強制的」ではないが、なんとなく「勧められているような雰囲気」があるという。接種を進めるための施策は地域によって異なるが、接種した人に200元(約3400円)の奨励金や米を配るというところもある。また政府は「訪問接種」「ビルごと接種(オフィスビルに勤める全員)」などのサービスで、接種率向上を目指している。ちなみに、中国人で医療保険に加入していれば、接種は無料だ。

 また、先日安徽省や遼寧省などで十数人の感染者が出たことで、これまで「接種しなくても大丈夫」と思っていた人々の中でも危機感が醸成されたようだ。一気に接種希望者が増えているという。

 5月18日からは、1回で済む新たなワクチンの接種が始まった。

「とにかく、北京オリンピックに向けて中国政府が一生懸命にラストスパートをかけているような感じだ」と、現地の様子を桑村さんは話してくれた。

訂正 記事初出時より以下の通り訂正します。
21、22段落目:張文広教授→張文宏教授
(2021年5月24日10:26 ダイヤモンド編集部)