作品とのやりとりの場を増やしていく

藤田 アーティストと花職人の内的バランスが崩れている人たちには、末永さんの話は「治療薬」としてかなり効くんです。「本当はもっと自分の関心に沿ったことをやりたい!」と思っている人にとって、「花職人」の話は刺さる。でも、現状にすごく満足しているタイプの人や、必死に自分を押し殺している人には、「職人のどこが悪いんだ!」という感じで受け取られたのかもしれない、というのが僕なりの結論です。

末永 そう思います。私は授業でも「アート思考は『花づくり』ではないよ」といつも言ってきましたが、一方で思うのは、「ひとまず花をつくってみる=いったん形にしてみる」のもすごく大事だということです。

 実際、私自身も、授業などで断片的に語ってきたことを、一冊の本にまとめてみたことで、新しい興味や疑問がどんどん湧いてきました。今回リリースさせていただいたUdemyさんの動画講座も同じです。

参考:
【ベストセラー著者と実践!】大人こそ受けたい『アート思考』の授業
──瀬戸内海に浮かぶアートの島・直島で3つの力を磨く(Udemy)

「自分がやりたいことをやれ」と言われてモヤモヤするワケ李禹煥美術館 写真:山本糾

藤田 『13歳からのアート思考』は本文それ自体が体験型の授業になっているわけですが、今回はその授業が動画になったということですね!

末永 本のときにはアート作品の背景情報なども紹介しながら、作品を楽しんでいただけるようにしてきましたが、今回の動画講座では、「そうした情報を抜きにして、作品とじかにやりとりして自分の主観で答えをつくりだすこと」に重点を置いてみました。

藤田 それは楽しみです。「アートの島」として有名な瀬戸内海の直島(香川県)でロケをされたとのことで、映像を拝見するのもすごく楽しみです! 本日はありがとうございました。

(対談おわり)