帰国も就労もできず
生活保護も利用できない外国人たち
5月18日、衆議院法務委員会で審議されていた入管法改正案の採決が見送られ、現在開催中の第204回国会(6月18日まで)では成立しない見通しとなった。今回の改正案は、現在は回数制限のない難民申請手続きを3回までとし、3回不認定だった場合には無条件に強制送還を可能としていた。「難民認定される人々は多い年でも申請者の1%程度」という日本の難民認定の異様な厳しさ、さらに収容施設での非人道的な処遇は、長年にわたって国際社会の非難を受けている。
いずれにしても、何らかの理由で不法滞在者となった人々は、出入国在留管理庁(入管)に収容される。日本社会の中で一定の安定感ある生活ができそうな人々は、「仮放免」という形で収容を解除される。
そしてコロナ禍の現在は「仮放免者が増えた」と見られ、「ゴールデンウイークや年末年始の前になると、仮放免者が増える」という話もある。理由としては「収容施設内での新型コロナクラスター発生で入管が責任を問われないため」という説が有力だ。
とはいえ仮放免の場合、日本で住民登録を行うことができない。すなわち、国民健康保険に加入できず、生活保護の利用資格もない。そもそも合法的に就労できないため、労働によって生活資金を得ることもできない。
中東出身で仮放免中のBさん(40歳代)に、状況と暮らしぶりを聞かせていただいた。