商社#12

ピカピカのエリート商社マンに、客商売はできるのか? 規模にものをいわせ、食品卸からコンビニエンスストアまで商流を支配する三菱商事には「やり過ぎ」との批判も付きまとう。片や住友商事は、優良な食品スーパーやドラッグストアを手塩にかけて育て上げたが、今後の規模拡大は容易ではない。特集『最後の旧来型エリート 商社』(全13回)の#12では、国内小売業界に浸透を図る商社の戦略と問題点を検証した。(ダイヤモンド編集部記者 岡田 悟)

セブン、イオン、三菱商事、伊藤忠…?
小売り五大グループに総合商社が入るわけ

 バイヤーが客の投票で総菜の人気を競い合う「総菜総選挙」。紙面の半分が白紙で「詳しくは店頭で」と書かれた折り込みチラシ――。首都圏で食品スーパーを展開するサミットは、小売業界でも評価が高い。

 ユニークな販促活動の話題性だけではない。単体業績は2019年3月期で、売上高に当たる営業収益が2823億円、営業利益は70億円、当期純利益は48億円で、営業収益と純利益は過去最高だった。

 サミットは、総合商社の一角である住友商事の100%子会社だ。商社マンといえば、海外を飛び回って困難なディールをまとめ、1人で何百億円もの金額を動かすイメージが強いが、そんな社員ばかりではない。コメや野菜など、生活必需品を黙々と販売する国内小売業にも深く根を下ろしているのだ。

 下図をご覧いただきたい。総合商社は意外にも、国内の小売業に出資したり、提携するなど、関与の度合いを強めている。

 ある小売業界関係者は、国内の小売りグループは図のように五つに大別できると語る。売上高8兆円を超える小売りの“巨艦”イオンと、国内外にコンビニエンスストアの“帝国”を築き上げたセブン&アイ・ホールディングス(HD)の存在感が大きいことは、言わずもがな。ところが、これに続くのが三菱商事と伊藤忠商事になるのだという。なぜか。