米国から対等の相手として
歓迎された文大統領

 これまで文大統領は米中の首脳に対等な相手とはされていなかった。

 2018年の文大統領とトランプ大統領との会談では、トランプ大統領は文大統領を隣に座らせておきながら、記者団の前で36分間も国内の政治問題について答弁し続けた。

 また、17年に中国を国賓訪問した時には、10回の昼食・夕食中、中国側主催の食事は2回だけであり、8回は韓国側だけの「ボッチ(独りぼっち)飯」を食べざるを得なかった。

 しかし、今回の会談で文大統領は、「(米国は)皆が誠意をもって接してくれた。本当に待遇を受けているという感じだった」「会談の結果は期待以上だった」と礼節をもって接してくれたことに感謝した。

 韓国は、超大国にコンプレックスを抱いている。そうした中で、バイデン大統領が文大統領を対等なパートナーとして接遇したことは非常に重要だ。文大統領はバイデン大統領に好感を持ち、米国との関係をより重視するようになることは間違いないだろう。

 今回の米韓首脳会談は、対中戦略で韓国を中国から引き離し、日米韓協力の中に引きつけたいバイデン大統領と、バイデン大統領に北朝鮮金正恩総書記との首脳会談を行ってもらいたい文大統領との駆け引きだった。

 米韓首脳会談共同声明の最初の小題目に「同盟:新たなページを開く」という内容が入った。今後協力の幅を広げていくことに期待を示した形だ。米韓同盟の再構築に向けた基礎が整ったといえる。

文政権の中国への姿勢は
根本的に変わっていない

 しかし、文大統領は帰国するや否や、中国に対する言い訳と気遣いを始めている。これを見ると中国に対する姿勢は根本的に変わっていないのかと感じさせる。今後、文政権は米中の板挟みの中でどのように立ち振る舞おうとするのであろうか。

 今般の首脳会談でも、日米豪印戦略対話に加わることはなく、中国を標的にした連携はいい考えではないとの立場を変えなかった。米国もクアッド(日米豪印の戦略対話)については会談前から韓国の参加を断念した。