「当社は生食用のカキをメインに販売しているのですが、カキのシーズンである11~3月以外は、なかなか安定した売り上げが出せないでいました。さらに、離島なので悪天候でフェリーが欠航すると、その日は商品を出荷できません。生鮮品だと出荷を遅らせることはできませんが、冷凍品ならそれが可能です。そうした理由もあって、2018年、生鮮食品を瞬間凍結できるフリーザーを導入しました」(鈴木氏、以下同)

 冷凍品を取り扱うようになり、これまではピークの11~3月に数人ほどを雇っていたというアルバイトの人々を、オフシーズンにも雇用できるようになったという。これまでは従業員もシーズンごとに入れ替わっていたが、勤続している人を確保できるようになって作業効率もアップした。

「売り上げや雇用が安定していくなかで、より多くの人に自社のカキを食べてもらいたい、ゆくゆくはカキの本場である海外にも展開したいと考えるようになりました。そこで、自販機で売ればいいのでは、と思いついたのです」

生産地や生産者の紹介のために
動画を流せるモニターを設置

 こうして、2018年の瞬間凍結機の導入をきっかけに、自社のカキ製品を自販機で売る方法を考え始めたのだが、実現はたやすいことではなかったという。

「大手の自販機メーカーに企画を相談したのですが、『そのレベルの冷凍自販機を作るなら、最低でも1000台からの注文でないと難しい』と言われてしまいました。1000台もの自販機を発注できるだけの資金は当社になかったので、別の方法を考えました」