マスターズを制した松山英樹の母校、東北福祉大学のゴルフ部は、谷原秀人や宮里優作など超一流選手を次々と輩出する名門だ。その背景には松山の恩師、阿部靖彦監督が重視する、育成術における三つのポイントがあった。特集『ゴルフ大全 ビジネス×人脈×カネ』(全12回)の#4では、阿部監督の育成術を詳らかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
グリーンジャケットに袖を通した松山が
真っ先に電話をかけたのは恩師だった
日本人で初めてマスターズ・トーナメントを制し、栄光のグリーンジャケットに袖を通した松山英樹は、表彰式を終えると真っ先に恩師へ電話をかけていた。
「監督、やりました」。松山は短く感謝の気持ちを伝えた。その声を聞いた恩師は、初出場から10年の苦労を経てマスターズチャンピオンに立った教え子の活躍に思わず感極まってしまった。
松山の恩師とは、東北福祉大学ゴルフ部の阿部靖彦監督。松山をはじめ谷原秀人や池田勇太、宮里優作ら名だたるトッププロを輩出し、大学日本一通算40回を超える常勝軍団に東北福祉大ゴルフ部を押し上げた名指導者だ。
1989年の創部に合わせて就任した阿部監督は、もともと野球選手だった。意外なことにゴルフ未経験者で指導歴もなかった。
では、いったいどのようにしてトッププロを輩出してきたのか。そこには育成術の三つのポイントがあった。