大金持ちになる人は
結論を出すのが早い

 筆者が以前、営業マンをやっていた頃に感じたことは、お金持ちの特徴はなんといっても“決断が早い”ということだ。彼らの口から「しばらく考えたい」とか「検討します」という返事が出ることは、まずない。

 この理由は彼らの日常にある。経営者や自営業者は誰にも相談することができない。相談相手がいたとしても、それはあくまでも参考意見を聴くだけに過ぎず、全ての決定は自分でしなければならない。かつ、意思決定や判断を求められることは次から次へとやってくる。このため、何事においてもすぐに決断せざるを得ないのだ。もちろん間違った決断を下すこともあるが、間違いだとわかるとそれを覆す決断も早い。

 一方で、サラリーマンの場合は判断するのは上席者ということになるだろう。ただ、その上席者も自分1人が責任をかぶりたくないため、さらに上に判断を仰ぐことになる。そしてそれは、「意思決定に伴う責任とリスク」が、自分で負えるレベルになるぐらいに十分分散されるまで続くことになる。かくして会社組織の中では意思決定に時間がかかりがちになる。

 このようにして良かれ悪しかれ、経営者や自営業者は全てにおいて結論が早くなるのである。仕事上の重要な判断ならともかく、金融機関からオファーされた金融商品の勧誘程度のことならすぐに結論は出せる。したがって買う、買わないの結論は早かった。

 ではなぜ、決断が早いとお金持ちになれるのか?

 それは儲けるチャンスを失わずに済むからだ。もちろん儲けるチャンスだと思って飛びついたもので失敗することだってあるだろう。しかし、それでも失敗したとわかった時点で早く止めれば被害は少なくて済む。

 ところが乗り遅れた場合はその後になかなか乗ることができない。株式投資でもこれは同じことで、ダメと判断した時点で素早く決断して損切りができるかどうかは大事だし、逆に乗り遅れてしまうと後から買うのは難しい。このように決断が早いというのはいずれの場合でもメリットをもたらしてくれるものなのだ。