大金持ちになる人は
部屋や机がきれい

 これは一見関係が無いように思えるのだが、筆者の経験から言うと、まちがいなくその傾向は強い。ただ、その理由を論理的に説明することは困難だ。今まで色々な経営者や資産家の事務所を訪問してきたが、優秀な経営者や資産家の多くは部屋の中はいたってシンプルでむしろ質素なぐらいである。

 考えられる理由のひとつとしては、キャッシュを生み出さないものには余計なお金をかけないということだろう。たしかに、豪華な調度品とか立派な美術品を置くといった見栄えにお金をかけることは単なる自己満足であって、それ自体が収益を生むというわけではない。そういう思考回路はとても大切だ。

 また別の理由としては、身の回りに余計なもの、必要のないものを置いておかないようにすることで、気持ちが集中できる。自分の周りに気に入った美術品や絵画を置きたいという気持ちはわからなくもないが、少なくとも事務所やデスクというのは“戦場”である。経営者にとって一番大切な「思索に耽(ふけ)ったり、考えて判断したりする作業」を実行する場だ。

 だからこそ、集中できる環境が重要であり、筋肉質の経営者ほど、仕事場で周りに余計なものは置かないという傾向は強い。もちろん、そういう趣味に関するものだけではなく、書類の類も積んでおくのではなく、必要な時だけ取り出して不要になればすぐに捨てるぐらいでちょうど良い。

 筆者自身も独立後、机の上をきれいにするように心がけることで思考の整理ができるようになり、それまで以上に深く考えることができるようになった。紙の書類は集中して考える時には有用だが、今はほとんどの書類はクラウドに格納されているので、必要があればいつでも取り出せる。作業が終わった紙は捨てるのが一番だ。

 これらの特徴をまとめて見ると、「約束」「スピード」、そして「シンプルさ」ということになるだろう。ここでは自営業や経営者の例として紹介したが、これはサラリーマンでも同じことだろうと思う。この3つの特性を持つことでビジネスもうまくいく。必然的に資産形成にも大きなプラスになるのではないだろうか。

(経済コラムニスト 大江英樹)