決め方が決まっていないので、議長役は(よく言えば)臨機応変の対応をとることになります。たとえば……有力者が1名でも反対なら、議論を差し戻し、うるさ型が反対なら時間をとって議論させ、収束しなければ先送り。数名が反対でも影響力がなさそうなヒトたちなら、無視して次に進む。そんな感じです。

 いやいや、無視されたり先送りされたりしたヒトたちも黙ってはいません。しばらくして反撃です。だって明確に否決されたわけではないので、いくらでも再戦可能です。やっぱりこれはマズイと思うんですけど、と結論間近になって前提をひっくり返そうとしたりします。そして話はまたふりだしに……。

 つまり、議論がちゃんと進まない、議長の裁量や声の大きいヒトのガンバリ次第で、どうとでもなってしまう、ということです。

 なのでまずは、決め方を決めること。

 意見が割れたときどう決めるかを、事前に定めましょう。あくまで全員一致にこだわるのか、多数決で決めるのか、それとも責任者に決定を委ねるのか。それさえ決まっていれば、なんとかなります。

 現実には多くの場合、上役が「雰囲気」で決めています。その雰囲気は声の大きいヒトによって定まったりするので、結局、ごく少数の強い意見を持つヒトに結論が引っ張られるのです。

 でもそんな、雰囲気で決まったような多数派の意見や結論(戦略)が、正しいという保証はどこにもありません。逆に、多くの大成功事業・商品事例は、リーダーによる独善的意思決定こそが成功のもとだと示しています。 セブン-イレブン然り、プレイステーション然り、iPhone然り。大きな成功のほとんどは、強力なリーダーによる独断によって推し進められてきました。

 伝説のリーダーたちは、「雰囲気」(空気ともいう)を読むことなく、独自の決断をすることで、大成功を手に入れたのです。意思決定者は、1人にしましょう。

 ただ、単純に「リーダー一任」とすると、今度は会議を開いても「みなが意思決定者の顔色をうかがって発言をする」とか、「どうせ決まってるんでしょと全員がコメンテーター化する」ことに陥る危険があります。

 それを少しでも避けるために、「多数決付き1人で意思決定」というやり方もあるでしょう。

 まずは意思決定者抜きで議論した後、意思決定者を除く全員で決をとります。GOかNO GOかの二者択一、棄権なし、で参加者個々人の意見を明確にしてもらうのです。

 その後、意思決定者が、最終的に決めるのです。それを受け入れるか否かを。