ただ、「うちの子は部活で大会に出たんです!」といくら言ったところで、内申点がボーダーラインに達していなければ、その効力を発揮できません。実際、スポーツ推薦で入学する方法がありますが、どんなに立派な大会に出ていても、内申点が足りなければ推薦資格は得られないのです。

 それよりも大事なのは、調査書(内申書)の「行動の記録」のほうです。「行動の記録」とは、「基本的な生活習慣」「自主・自律」「思いやり・協力」といった10項目からなっており、通知表には記入されませんが、学校側の内部資料と調査書(内申書)に記入されるものです。つまり、親や本人が見ることがないものです。

 この内部資料や調査書には、テストの点数を記入する欄はないのに、評定(内申点)や「行動の記録」を記入する欄があることから考えても、その子の「人間性」を見られていることがわかります。

内申点のために「いい子にならなくちゃ」の間違い

 内申点は、先生の「心」でつけています。それを「先生の主観で成績が決められてしまう」と評価制度を批判する向きもありますが、私はプラスにとらえています。

 いまや大学入試でさえ一般入試と推薦入試、総合型選抜(AO入試)などの割合が半々になっています。その先の就活や会社の人事考課を考えてみても、いつも“誰か”があなたの“人間性”を評価しているのです。

「先生の顔色をうかがって、媚びているみたいでイヤ」「子どもに“いい子”の演技をさせたくない」とおっしゃる親御さんもいます。でも、そうではありません。“媚びた感じ”は先生にもわかります。でも、どうせ人と接するのなら、不機嫌な顔で接するより微笑んでいたほうが、感じがいいと思いませんか。

 媚びる、媚びないの話ではなく、人としての礼儀やマナーの問題であり、良質なコミュニケーションをとるためでもあります。いずれ社会に出れば、人当たりよく接することがどれだけ大切か身に染みてわかります。そうであるならば、中学生のうちからそれを知っておいて損はありません。