免疫機能を整える「酢の第二のパワー」

 そもそも、酢酸菌がつくり出す酢酸つまり酢そのものにも大きな健康効果があることはよく知られています。酢が健康に与える好影響には、血圧を下げる、食後の血糖値の上昇を抑える、内臓脂肪を減らす、疲労を回復させる、カルシウムの吸収を促す、といったことがあげられます。これらを「酢の第一のパワー」と呼びましょう。

 こうした健康効果だけでも非常に有効なのに、にごり酢にはさらにうれしい点があります。にごりのもとである酢酸菌そのものが持つ、いわば「酢の第二のパワー」が詰まっていることです。

 じつは酢酸菌には免疫機能を整える働きがあります。これは酢酸にはない重要な作用。一例として、花粉症の人が酢酸菌を摂取すると、症状がやわらいだという研究報告があります。

 また、ほこりやハウスダストなどからくるアレルギー症状を緩和させる働きがあることもわかっています。

 これらは、ごく最近の研究で明らかになったことです。以前は、酢酸菌など何の役にも立たないと思われていましたが、そうではなく、意外なほど強力な作用があり、ぜひ役立てたほうがいいという方向に変わってきたのです。

 にごり酢はこの有用な酢酸菌をまるごと摂取できるのですから、健康増進のために利用しない手はありません。

なぜ酢酸菌が免疫機能に効果的なのか

 酢酸菌がどうやって免疫細胞に働きかけるのか。そのメカニズムを知るには、菌の構造を理解しておく必要があります。

 細菌を構造によって大別すると、「グラム陽性菌」と「グラム陰性菌」に分けられます。

 乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌など、発酵食品で利用される菌のほとんどはグラム陽性菌です。これに対して、発酵を促す菌のなかでは例外的に、酢酸菌はグラム陰性菌に含まれます。