「心の上から目線」で対応する

 ここからは、私が刑事時代に身につけた対処法をお話しします。

「いったいどんな教育を受けてきたんだ」
「親の顔が見てみたい!」

 いきなりこんな怒声を浴びせられると萎縮し、心が悲鳴を上げてしまうものです。私はこうした言葉を真正面から受けません。スルーしたり、「そうですか……」などと返してやり過ごしたりしながら、相手の真意(第二の感情)を見出そうと試みます。元刑事である私は人に対するとき、言葉の意味や声の大きさだけではなく、表情やしぐさ、その視線などで真意を探るのです。

 私がおすすめするのは、心が折れそうな局面になったら、クレーマーを別の角度から見てみるということです。

「怒鳴り続けているこの人は、きっと寂しい人なんだ」
「家族や近所で疎んじられているんだ。かわいそうに」

 などと、別の感情を持ちながら接するのです。

 私はこれを「心の上から目線」と呼んでいます。実際に上から目線でクレーム対応することはありませんし、できませんが、心の中でだけ、上から目線でクレーマーを見つめ直す。そうすることで、落ち着いて冷静な対応をすることができるのです。