また、インドでは3輪タクシーや屋台にまで「Paytm(ペイティーエム)」というキャッシュレス決済サービスが普及している。日本で2018年にスタートし、急速に普及した「PayPay」は、インドのPaytmの技術を基にして日本向けにローカライズしたサービスである。

インドの三輪タクシーでも使えるPaytmは、日本のPayPayのベースとなっている技術だ。インドの三輪タクシーでも使えるPaytmは、日本のPayPayのベースとなっている技術だ Photo by Kazutoshi Otani

 これらのことからもわかるように、インドでは無数のサービスがアプリを介して瞬時に数億人の消費者に直結できることを念頭に作られており、何をするにもスマートフォンなどを利用するモバイルファーストの考え方が常識なのだ。

 日本のマイナンバーに相当する国民識別番号の「アドハー」も、すでにほぼ全国民に普及しており、そこには指紋・虹彩・顔のデータも登録しているため、完全な生体認証システムとして機能する。そして、国が管理するこのデータによる認証サービスを民間企業にも積極的に利用させることで、銀行口座の開設などの手続きも簡略化しているのである。ちなみにアドハーの生体認証にはNECの技術が使われており、国家の根幹となる部分に日本が貢献できていることは、喜ばしい限りだ。

国民識別番号のアドハー(Aadhaar)は、生体認証システムを備え、銀行口座・携帯電話番号とひも付いている。スマートフォン用のアドハーアプリが提供されており、各種金融取引もここから行える。国民識別番号のアドハー(Aadhaar)は、生体認証システムを備え、銀行口座・携帯電話番号とひも付いている。スマートフォン用のアドハーアプリが提供されており、各種金融取引もここから行える Photo:DIAMOND