武田薬品工業のトップに君臨するクリストフ・ウェバー社長兼CEOの任期は残り数年とみられ、今春人事で社内の後継者候補は絞られた。下馬評では日本人3人の名前が挙がるが、日本人の手に経営が戻るという単純な話ではない。特集『武田薬品 「破壊と創造」』(全7回)の最終回では、3人の正体を明らかにし、ポスト・ウェバーCEO時代の武田薬品を展望する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
ウェバーCEOの潮時は2025年
後継者候補に日本人3人
創業家最後の社長である武田國男氏の在任は1993~2003年、その後継者となった前社長の長谷川閑史氏は03~14年。過去2代、武田薬品工業のトップはおよそ10年周期で次の世代へバトンを渡してきた。
現社長兼CEO(最高経営責任者)のクリストフ・ウェバー氏は14年に社長兼COO(最高執行責任者)に就任、翌15年にCEOへ昇格した。慣習に従えば、25年ごろがトップを退く潮時となる。ウェバー社長兼CEO自身もそれをにおわせる発言をしている。
ウェバー社長兼CEO退任の潮時と後継者候補へ英才教育を施す期間を考慮すれば、今春までの人事で社内候補は絞られている。付言すると「長谷川前社長周辺が『次は日本人で』とウェバー社長兼CEOに言い含めていた」(ある武田薬品関係者)とされ、それが守られるならば後継者は日本人になる。
下馬評に上がるのは、外国人経営陣による米国企業化が進む「新生タケダ」を象徴するキャリアを歩んできた日本人3人。武田薬品の歴史ある資産やカルチャーがスクラップされた「破壊の10年」の間、主に海外ビジネスの現場に身を置き、豊富なグローバル経験を積んできた猛者たちだ。