「勝者のメンタリティー」とは、私たちは常に改善を続けなければならない、という一貫した事実を表す言葉であるように思います。常に「まだまだ」という気持ちを持ち、決して満足しない心持ちのことです。

 私自身いつも落ち着かず、容赦ないと言われることも多いです。改善を続けることの重要性を学ぶ上で素晴らしい例として、テニスのロジャー・フェデラー選手が挙げられるでしょう。同選手はあらゆる大会で優勝し、今や最も多くのグランドスラムを勝ち抜いたプレーヤーですが、いまだ決して練習を怠りません。

 なぜなら、まだまだ上手くなりたいと考えているからです。つまり、勝者の考え方とは、決して満足しないことだと理解しているのでしょう。成長の種は常に存在しており、達成できることは多くあります。それを踏まえた次に、達成する方法を検討するわけです。

――2016年よりゴールドマンサックス(GS)の日本アドバイザリーボードも務めるなど、ビジネス界にも活躍の場を広げています。この場で毎度、どんなことをアドバイスしているのでしょうか。

 私からの助言は常に、効果的なリーダーシップとは何か、ということです。どうすれば、組織において効果的なリーダーとなれるでしょうか。

 あらゆる会社やスポーツにおけるチームは、高いパフォーマンスを求めているはずです。つまり、組織として常にできるかぎり最高のパフォーマンスを発揮したい。競争の激しい分野、例えばビジネスでの銀行の世界でも、生き残りをかけて常に最善を尽くす必要に迫られています。もちろん、スポーツチームもしかりです。

 繰り返しますが、それはすなわち、どのように効果的なリーダーシップを発揮できるかにかかっています。強力なビジョンを持っていることを確認し、常にそのビジョンに立ち返る必要があります。そして計画を実行するわけですが、その計画には一貫性も求められます。さらにメンバーを奮い立たせ、彼らが受け取ってきた以上のものを与えられるように取り組むことが大事だといえるでしょう。

――長らくラグビー界で培った経験を踏まえ、自身が持つリーダーシップのどんな点が、多くのビジネスパーソンの仕事にも活きると感じていますか?