◇ポジショニングや仕草で相手の心を開かせる

 どのようなポジショニングで人と話すかによって、印象は大きく変わる。例えば、正面から向かい合って座る「対決姿勢」だと緊張感が高まるため、オープンに話したいときは避けるべきだ。一方、横並びの位置だとリラックスできる。横並びに座ると、見ている景色が同じになり、気持ちも一致させやすいからだ。

 とはいえ、初対面の相手や仕事の相手と横並びに座ると、不自然になる。ほどよい距離感が保てる斜め45度の位置がいいだろう。相手の気が散らないように入り口から遠い場所に誘導する、威厳をアピールしたいときには太陽を背にして後光が差しているように演出するなどといったテクニックもある。安心感や信頼感を築く作業は、話す前から始まっているのだ。

 細かい仕草にも注意しよう。自分の手や足を相手に向けて広げながら話すと、相手との心の距離が近くなりやすい。商談が進んできたら上着を脱ぐのも有効だ。鎧を脱ぐのと同じで、警戒心を解いたことを相手に伝えられる。相手の心を開きたいなら、まずは自分から心を開いてみせるようにしよう。

◇「あなたと似ている」ことを示す

 人は無意識に自分に似た人に安心感や信頼感を抱く。これを心理学では「類似性の法則」と呼ぶ。私たちは、服装や表情、行動、価値観などが自分と似ている人に対して、安心感や信頼感を抱くようにできている。

 だから、相手と信頼関係を築きたいなら、自分は相手と似ていることを示すことが不可欠だ。これは心理学では「ペーシング(同調効果)」と呼ばれるスキルで、相手と呼吸や仕草、話すスピードなどを合わせることで無意識に働きかけて、信頼関係を構築する。好かれる人は自然にペーシングしている一方で、嫌われる人は知らず知らずのうちにディスペーシング(反同調行動)しがちだ。

 といっても、相手との類似点がすぐに見つかるとは限らない。ならば、無意識的な部分に働きかけてみよう。相手の意識的な言葉をマネするよりも、呼吸のタイミングや仕草、話すスピード、飲み物を飲むペースなどといった無意識的な行動に合わせる。あなたが営業担当者なら、お客様のジェスチャーをペーシングしてみるといい。大きいジェスチャーのお客様はジェスチャーのない営業担当者を「表現が乏しい、サービス精神がない人」と感じる。一方、動きの少ないお客様は、営業担当者のジェスチャーが大きいと「落ち着きがない人」だととらえる。声の大きさや話すペースも同様だ。好かれる人は、相手の無意識に働きかけることで能動的に信頼関係を築いている。