懸念(1)
スマートフォンの価格が高止まりして帳消し?

 私は長年のiPhoneユーザーですが、みなさんもお気づきの通り、年々iPhoneの新作は価格が高くなっています。たとえば今、iPhone12に買い替えようと思ったら128GBモデルで価格は税込み9万9880円です。つまり、ほぼほぼ本体価格10万円ということになります。

 昔だったら携帯電話会社と2年しばり契約をすれば、どのスマホでも本体価格は実質0円で買えた時代もありました。それが0円ではなく月額1000円ぐらいのプラスとなり、やがて3年縛りの契約体系になるという感じで、高性能スマホの実質価格はこの10年でずいぶんと高くなってきています。

 今回の総務省の試算を逆算すると、各社の値下げプランに乗り換えた1570万人のユーザーが1年間で得をする金額が単純計算すると約2万7400円。3年間で約8万2000円も得をします。

 さて、この前提で仮に楽天モバイルに乗り換えてiPhone12の端末を購入するとします。新規に回線を申し込んだ場合、最大で2万ポイントがもらえるので3年間合計で計算上は消費者は10万2000円の得になるのですが、「それって、iPhoneの端末価格と同じ値段じゃない?」という懸念です。

 つまり、携帯各社が携帯料金の値下げ競争で新規顧客を獲得する一方で、今後少しずつ端末価格を値上げしていく(ないしは端末購入特典を削減していく)可能性があるわけです。そして政府の携帯料金値下げ指導で各社の経営状況が厳しくなれば、値下げ分はスマホ価格でちゃらになっていくかもしれない。これが携帯の未来に関する最初の懸念点ではないでしょうか?

 ちなみに、楽天モバイルはこの4月から旧型のiPhoneにも対応するようになりました。中古ショップでSIMフリー端末を購入して、街の修理屋さんで電池を入れ替えて長く長く使用するというスタイルが今後は賢い消費者になるかもしれません。