ダイヤモンド決算報通信3社
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携帯電話大手3社の2020年3月期決算はNTTドコモが2桁の減益となった一方で、KDDIとソフトバンクは増収増益を確保して明暗が分かれた。新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが普及しているが、3社とも通信需要拡大のチャンスをつかめていない。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

料金値下げで「独り負け」のドコモを
ヤフー連結のソフトバンクが追い抜く

 携帯電話大手3社にとって2020年3月期の最大の話題は、料金の値下げだった。政府の圧力を背景に、19年10月には改正電気通信事業法が施行され、通信料金と携帯端末のセット販売が規制されているが、この影響を最も受けたのがNTTドコモだ。

 19年6月、通信料金を最大4割引き下げる「ギガホ」「ギガライト」という通信と端末の分離プランを導入したことで通信料収入が減少し、連結営業利益は15.7%減の8547億円となった。

 一方で、以前から分離プランを導入していたKDDIとソフトバンクは大幅な値引きを回避。改正法の施行でスマートフォンの値引きが制限されたため、3社とも端末販売は減少したが、ドコモを除く2社は通信料収入の大幅な減少は免れた。

 むしろソフトバンクの通信料収入は、契約数増と解約減によって増えた。「ワイモバイル」や「LINEモバイル」という格安スマホのブランドで幅広い顧客を取り込んだことが効果を発揮したためだ。

 このほか、前期にヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)を子会社化したのが寄与し、ソフトバンクの連結営業利益は11.4%増の9117億円となり、通信事業単独でドコモの利益を追い抜いた。ZHDは昨年11月にZOZOを買収しただけでなく電子商取引(EC)事業が好調で、いまやソフトバンクの業績のけん引役だ。LINEとの経営統合も予定しており、今後の利益の一段の伸びが期待できそうだ。

 KDDIも事業法改正による携帯料金の変更は微調整で済んだほか、映画、音楽、書籍、金融など「非通信」事業が好調で、端末販売のマイナスをカバーして辛うじて増収増益を確保した。

 結局、20年3月期に携帯3社の料金競争は起こらなかった。「第4の携帯事業者」として競争活性化を期待されていた楽天が19年10月に予定していた本格参入を先送りしたのも要因とされるが、結果として、ドコモだけが料金引き下げを強いられた格好で「独り負け」となった。