懸念(2)
ショップの減少とサポートの有料化

 NTTドコモの「ahamo」のように、新規の格安20GBプランはオンラインでの申し込みが前提になっているものが多い状況です。逆に言うと、ショップでサポートをうけながらスマートフォンを購入しようとする場合は値下げプランの恩恵を受けられないというのが、いまのところ携帯料金値下げの前提条件となっています。

 企業経営である以上、大幅に収入を下げるのであれば必ずどこかでコストを削減しなければなりません。今回、各社が暗に実験しているのは、この機にショップの運営にかかるコストをどこまで下げられるかを見極めることでしょう。

 一般論としては若い人はオンラインで購入できる一方で、高齢者はショップでサポートしてもらわないと新規端末の購入すらできないものです。では40代は?60代は?どちらに入るでしょうか。境界線としては、

・自分でSIMを挿せる
・初期設定が自分でできる
・アプリやメール、写真などを旧機種から移行できる

 かどうかで、オンライン派かショップ派かが分かれるでしょう。

「この作業が実は最近、結構簡単になってきている」という点がこの先のショップの運命を左右するかもしれません。機種次第ではありますがiCloudやGメールを使っている人は、新しい携帯を買って、手さぐりでSIMを入れてみるものの、その後の設定は意外と簡単に終わる可能性があります。

 これはパソコンでも15年前ぐらいに起きた現象ですが、年々スマホも機種変更時に必要な作業がシンプルになってきています。

 こうして1年、2年たつうちにショップの来店客は目に見えて少なくなっていくかもしれません。携帯電話の販売店は徐々に街角から姿を消し、将来的にはターミナル駅や大規模ショッピングセンターに一カ所だけという状況になるかもしれません。

 例えば、東京都内にはアップルストアが5店舗しかありません。公式携帯ショップの場合はそれよりも多くの数が生き残るとは思いますが、ドコモ、au、ソフトバンクともにショップの数は大きく減少するのではないでしょうか。そして、これまで無料で頼めた諸々のサービスも徐々に有料化するはずです。価格が大幅に下がった以上、どこかでコストを削減しなければならないのですから。