あなたがネットいじめの被害者なら、補償を受ける権利があるかもしれない――。大人や10代の子どもの間でネットいじめが増えていることを受け、保険会社は家庭や個人にこう売り込んでいる。保険販売サイトを運営するスタートアップ企業ワッフルは5月、サイバー保護保険の単体での提供を開始した。スイスの保険会社チャブが引き受けている保険で、サイバーいじめのほか、なりすましや恐喝などのサイバーリスクも対象としている。その狙いは、弁護士費用やメンタルヘルスサービス費、休学した場合の家庭教師代、深刻ないじめで転校を余儀なくされた場合の転居費用など、被害者がネットいじめに関わる費用を回収できるようにすることにある。個人向けのサイバー保険は、まだ誕生間もない分野だ。業界団体の損保情報調査研究所が2019年に行った調査によると、ネット接続機器を所有している米消費者のうち、サイバー攻撃からの回復を支援する保険に加入していると答えた人は約10%にとどまり、サイバーリスクの補償にさらにお金を払う気はない、あるいは払う気があるかどうか分からないと答えた人は74%に上る。