老後資金の一部は株と外貨に

 老後資金を全額、銀行預金にしている人が多いようだが、預金はインフレに弱い「リスク資産」だ。たとえば首都直下地震のような大災害など未曽有のリスクからインフレとなり、物価が何倍にも値上がりしたら、老後の生活資金が足りなくなる恐れがある。

 そのため、「保険」としてインフレに強い資産を持つことが、悲惨な老後を避けることに資するであろう。インフレに強いのは株と外貨であるが、実際には日経平均株価と米国株に連動したインデックス型投資信託の積立投資が無難であろう。

 住宅についてはどうか。持ち家に住むか、借家に住むかという論争は頻繁に目にする。つまり、どちらも一長一短なのだ。そうであれば、現役時代については本稿ではコメントを控えるが、老後は持ち家を強く勧めたい。

 なぜなら「長生き」と「インフレ」が老後資金を考える際の最大のリスクだからである。長生きしている間にインフレとなり、老後の生活資金が足りなくなることは、なんとしても回避すべきだ。借家に住んでいると、そのリスクが増幅されてしまう。

 借家暮らしでは、長生きすればするほど家賃を払い続ける必要があるし、インフレで家賃が高騰すれば、目も当てられない。そうしたリスクを避けるためには、少なくとも老後は自宅に住むべきである。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係がない。また、当然ながら投資をする場合には自己責任でお願いしたい。