穀物価格が高騰している
四つの要因

 大豆や小麦、トウモロコシといった穀物製品は国際相場で価格が決まります。いわゆる「コモディティー相場」というもので、今回のように価格が上がる年はこれまでも何度も起きています。そのため、業界関係者的にはそれほど特別な事象ではないと思います。

 一方で、今回なぜ穀物価格が上がったのかを調べてみると、四つの要因が挙がっています。

(1)コロナ禍で世界全体での生産体制が停滞した
(2)アメリカの天候不順で今年の大豆の生産量について減産懸念が出ている
(3)中国を中心に世界的な大豆の需要増が起きた
(4)中国の補助金政策により大豆生産が奨励され、そばなどの生産量が減少する要因になっている

 未来予測の手掛かりとして、これを短期的な要因と長期的な要因に分けてみましょう。コロナ禍での生産停滞は予測はされていましたが、ワクチンの普及などで今後は解消していくことが期待されます。世界全体がアフターコロナ時代を迎える中では、コロナでの生産停滞はあくまで短期要因だと考えていいでしょう。

中国の需要増とアメリカの天候不順は
長期化する可能性が高い

 一方で、長期的な要因として気になるのは、第一に中国での需要増です。これは中国もそうですが、インドやブラジルなど人口の多い新興国の生活水準が上がってくることで引き起こされる値上がりです。