郵便局と農業協同組合(農協)は、共に地方の金融や保険といった社会インフラを支える「最後のとりで」となっている。採算だけで拠点の統廃合が進めば、たちまちその地域住民の利便性が失われかねない。だが一方で、郵便局の非効率な拠点配置を指摘されてきたのも事実だ。農協すらリストラを加速させている中で、「利益追求」と「ユニバーサルサービス提供」の二兎を追わねばならない郵便局はどうあるべきなのか。特集『郵政消滅』(全15回)の#8では、五つの指標による郵便局と農協の比較に加えて、統廃合必至となる郵便局の“過剰エリア”を炙り出す。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
地方を支える郵便局と農協
その共通点と違いとは
郵便局と農業協同組合(農協、愛称:JA)は、何かと共通点が多い。
郵便事業を扱う郵便局と農家の相互扶助が目的の農協では“本業”こそ違うものの、共に全国に幅広い拠点と巨大な組織網を持ち、銀行業や保険業といった生活に密着したサービスを提供している。そうした金融業が事業全体の収益を支えているという点もしかりだ。
人口の少ない地方において、銀行や信用金庫の店舗が手薄で、現金を引き出せる場所が郵便局か農協しかない地域はざらにある。両者は、まさに地方の生活インフラの「最後のとりで」ともいうべき存在なのだ。
郵便局と農協。双方において、拠点数、銀行の預金残高、保険の保有契約件数など五つの指標で徹底比較した。地方の“生活インフラ対決”で軍配が上がったのはどちらなのか。