郵政消滅#14Photo:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

2015年に東京証券取引所第1部に上場した日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株価は、そろって半値程度まで下落している。3社の株価が上昇に転じる余地はあるのか。特集『郵政消滅』(全15回)の#14では、民営化・上場を経験した他の旧公社、JR東日本、NTTと比較して、日本郵政の構造問題をあぶり出す。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

JR、NTTにあって日本郵政に欠けている
「2つの要因」が株価の低迷を招いた

「NTT以来の大型上場案件」「政府は株式売却益を復興財源にするので、株価を下げたくないはず。側面支援を期待できる」。日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)が上場した2015年11月4日――、株主は期待に満ちていた。

 実際に、3社ともに初値は売り出し価格を大幅に上回り、順調な滑り出しを見せた。

 だが、それから5年半余り、3社の株価は上場時の半額ほどに低迷。政府の“側面支援”を期待した株主は肩透かしを食らい涙をのんでいる。

 残念ながら政府・与党は、日本郵政の再建を「難工事の割に見返りの少ない政治テーマ」と捉えており、政策的な優先度は低いのだ。

 では、日本郵政グループ3社の株価が上昇に転じる転機はあるのか。日本郵政と同様に、民営化・上場を経験した旧公社と比較してみよう。