部下を変えようとしない。
作業を変えよう

 業務がスムーズにいかない場合、マネジャーは担当者の能力のせいにしがちだ。

 だが、実際には「このやり方でいいのか」と考えたほうが解決は早い。

 私は新人マネジャーに「自分を変えることはできるけれど、他人を変えることはできない」と話している。

 マネジャーになると、部下に仕事を与える。

 たとえば、採用業務をしていたマネジャーがその仕事を部下に引き継いだとしよう。

 部下がなかなか仕事ができないときに、「いつまで経ってもできない」「変わらない」とイライラする。

 そんなとき、私はこんな話をする。

「あなたは成長したけれど、私に変えられて成長したわけではないでしょう? 自分で成長したと思っているでしょう?」

 人は自分の意志でしか変わらない。

 人が劇的に変わるのは多くて10年に1回。普通は20年に1回くらい。

 それが今年起きる確率は10分の1か、20分の1。

 そんな10分の1の確率にかけて仕事をするのはおかしい。

「人は変わらない」という前提で、仕事の仕組みを考えるべきだ。

 一人に全部やってもらおうとしてもできないなら、その人が得意なことだけやる仕組みにする。

 部下が変わるのではなく、マネジャーが仕事を仕組み化する能力をつけることだ。

 採用業務には、「求人媒体社と商談する」「応募者の反応がいい求人広告をつくる」「大量の応募者を説明会、面接に振り分ける」「面接して人の資質や能力を見極める」などの実務があるが、それぞれ求められる能力は違う。

 それを一人の部下に任せるのではなく、4つの業務に分け、それぞれに適した人に振り分けてみる。

 常に業務を俯瞰的にとらえ、仕組みを再構築する能力がマネジャーには求められるのだ。