東京証券取引所で来年4月に予定される新市場区分への移行準備が本格的に始まった。最上位のプライム市場に現時点で残れない1部上場企業664社には、乗り越えるべき試練が山積する。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
今回は1次判定
“再試”挑戦の適時開示続々
「流通株式時価総額向上に向けた施策を進めてまいります」(ニーズウェル)、「流通株式を増やすためのコーポレートアクションを選択肢として検討し、プライム市場上場維持基準への適合を目指してまいります」(アイ・ケイ・ケイ)。
東京証券取引所が新市場の適合状況について1次判定の結果を通知した7月9日以降、東証1部上場企業でこんな適時開示が相次いでいる。
第1部、第2部、マザーズ、ジャスダックの4市場に区分されている東証運営の株式市場は来年4月4日、「プライム」「スタンダード」「グロース」という三つの市場区分へ移行する。新たに最上位となるプライムに上場するには幾つかの形式基準をクリアする必要があるが、この基準を満たしていない1部上場企業は、3割相当の664社に上る。
ニーズウェルやアイ・ケイ・ケイは、いわば“不合格”通知を東証から受けた664社のうちの2社だ。今回はあくまでも1次判定であり、プライム上場維持基準の適合に向けた計画書を今後提出すれば、経過措置の適用を受けられる。要するに「プライム落ち」を回避したい企業による“再試”挑戦の適時開示が、9日以降に相次いでいるわけだ。
プライム上場を維持するためには、流通株式の時価総額が100億円以上、比率が35%以上、直近2年合計で経常利益が25億円以上といった形式基準をクリアしなければならない。