奮発して買ったキャットタワー一体型テレビボード、
猫は気に入るのか

 猫は高いところに登って下を見下ろすのが好きだ。一説には地面より高所の方が外敵の脅威が少なく、また俯瞰することで安全安心を感じられるかららしい。キャットタワーはこれを満たす猫専用家具であって、最近ではデザインが凝られ始めて部屋をいい具合に彩ってくれる洒落たキャットタワーもたくさん出てきた。

「キャットタワーを置くスペースはないけれども猫の高所欲求は満たしてあげたい」と考えるワンルーム暮らしの人が、壁にキャットウオークを取り付ける場合もある。猫の高所欲求はそれくらい重視されている。

 だから、人と猫が共用できる“猫家具”は、「人が普段使えて、猫の高所欲求も満たせる」というコンセプトのものが多い。

 まず紹介したいのが、“LOWYA”というインテリアブランドのテレビボードである。このブランドには「猫と暮らすインテリア」と銘打ったシリーズがある。テーブルや本棚などの猫家具がいくつかあって、テレビボードも3万~7万円くらいで数種類あるが、実はその中の5万円のものが、筆者宅にある。

 形状はアシンメトリーで、中央にテレビを置く台があり、左右は猫が登れるアスレチック的な階段になっていて、テレビ真上を走る上下2列のキャットウオークへと続いている。キャットウオークの終着地点には、これまた猫が好きな箱(丸窓付き)があって、存分に猫が楽しめる仕様となっている。

 なぜ購入に至ったかは後述するが、最初に見たとき思ったことは「こんな常軌を逸した形状のテレビボード、値段もそれなりだし、買うわけない」であったし、知人に「これを買った」と画像を見せれば大体面白がってくれる。たしかに洒落た感じもあるのだが、それくらい奇抜なデザインなのである。

 幅2.2メートル、高さ1.8メートルで、妻と2人がかりで組み立てに5時間かかったほどの大物である。しかし、設置初日、猫は「でかいのが来た」とおびえてまったく近寄ろうとしなかった。

 猫様が歩きやすいようにタイルカーペットをキャットウオーク部などに貼り付けて、しかも色を凝って選びはやりの北欧調にしてみたが目線より少し高い部分なのでほぼ見えない。さらに悪いことに、普通のテレビボードに比べれば収納が圧倒的に少ない。

 このままでは買い物が大失敗に終わってしまうと筆者は焦った。猫のことになると判断基準がめちゃくちゃになる筆者が、妻をどうにか説得して不穏な雰囲気の中、購入に至ったのである。なんとしてでも猫様に気に入っていただかなければこのテレビボードは今後数年、数十年にわたって夫婦不穏の種としてリビングに鎮座し続けることになってしまう。かくなる上は筆者自身がこのテレビボードのキャットウオーク部分で寝起きすることで「一応ちゃんと使ってます」感を演出する覚悟であった。

 背水の陣で猫様にテレビボードを気に入っていただけるよう、おやつを無理やりその上で食べさせたりマタタビをまいたりといった施策を試みたら、これが無事当たってくれたようで、翌々日にはすっかり気に入って、キャットウオークや箱の中で寝そべる姿が確認された。

「猫と暮らす」とはまさしくこういうことである。結果的に、大変満足のいく買い物ができた。