世界各国が人権に敏感な時代

 組織委員会に強く認識してもらいたいことは、世界各国が今、人権状況に非常に敏感になっていることだ。

小山田圭吾氏が辞任、「いじめ問題」をスルーしようとした五輪組織委の大失態本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されています。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)

 現に、欧州連合(EU)の欧州議会は、加盟国に対し、中国が香港や新疆ウイグル自治区の人権状況を改善しない限り、来年2月の北京冬季五輪への政府代表や外交官らの招待を辞退するよう求める決議を採択している。

 また、英国下院も、新疆ウイグル自治区での人権状況を改善しない限り、英政府の代表らに対する五輪への招待を拒むよう政府に求める決議を採択した。

 さらにいえば、つい先ほど、「文在寅大統領が訪日しないことを決めた」という報道が流れた(19日18時現在)韓国では、いじめを過去にさかのぼって糾弾する運動が高まっているのだ。

 そして、小山田氏のいじめ告白は、英国など海外メディアも次々と取り上げている。

 世界から日本が人権を軽視する国だと白い眼を向けられるという失態を繰り返した組織委員会は、どんな批判も受け止める覚悟を持って、大会を運営していただきたいと、最大級の皮肉を込めて言っておきたい。