SDGsは「呪い」か「福音」かPhoto:123RF

世の中はSDGsブームに沸いている。SDGsを特集した雑誌は異例の重版が決定し、テレビは連日、SDGsに関する取り組みを紹介している。最近ではSDGsをキーワードにした就活イベントや特集サイトまで組まれている。連載『ザ・グレートリセット!デロイト流「新」経営術』の#4は、上辺だけのSDGsで失敗しないために企業が取り組むべき3つのポイントを解説する。(デロイト トーマツ グループ シニアコンサルタント 河内萌未)

SDGブームで試される企業の本気度
「SDGsウォッシュ」と呼ばれるリスク浮上

 SDGs(持続可能な開発目標)とは、2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として、15年の国連サミットで採択された「30年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」だ。SDGsとMDGsの最も大きな違いは、これまでは「協力主体」であった企業に「行動主体」への転身を求める点にある。

 これを受け、企業のSDGs活動も加速している。一般社団法人能率協会による20年の調査では大企業の約9割がSDGsに関する取り組みを実施していると回答した。しかしよく見ると、同時に4割近くの大企業はSDGs活動の具体的な目標を設定していない。もし、はやりや危機意識から“とりあえず”取り組んでいるならば、これらの企業は「SDGsウォッシュ」と呼ばれるリスクにある。

「SDGsウォッシュ」とは英語で「ごまかし」「粉飾」を意味する「ホワイトウォッシュ」とSDGsを組み合わせた、上辺だけの活動を揶揄する造語だ。環境に関することであれば「グリーンウォッシュ」とも呼ばれる。

 SDGsのロゴを掲げ、自社事業とSDGs17の目標をマッチングさせただけでは、もはや社会の期待に応えたとはいえない。SDGsへの関心が高まるとともに、世間は企業の本気の取り組みを求めている。すなわち、「自社のみならず、社会を良くする活動」を本当に実行できているかが問われているのだ。

 果たして、SDGsは企業にとって危機意識的に突き動かされるだけでの「呪い」でしかないのか。