二酸化炭素(CO2)排出量削減を求める声がますます大きくなる中、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは原油の増産に動いている。この戦略はアラムコの立場からは理にかなっているが、リスクがないわけではない。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が9日公表した最新の報告書には、行動を促すための劇的な内容が盛り込まれている。「温室効果ガスの排出量を直ちに迅速かつ大規模に削減しなければ、温暖化を1.5度(セ氏)以内はおろか2度(同)以内に抑えることも不可能になる」というものだ。その前日、世界最大の石油会社サウジアラムコは、原油生産能力を日量1200バレルから1300万バレルに引き上げることなどを含む、石油設備投資拡大計画の概要を発表した。この成長戦略は、アラムコなどの国営石油会社が、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル、英BP、さらには米エクソンモービルといった独立系石油会社とはいかに違うかを浮き彫りにしている。後者の各社は、排出量の多いビジネスを低炭素社会に向けてどのように調整するかという問題に対処する中、石油関連投資を抑えている。
サウジアラムコ、増産目指す独自路線のリスク
脱炭素化の流れで石油各社が設備投資を抑える中、世界最大手はなお拡張を計画
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