野村総研は年収1200万円でも…日本の「御用聞き」ITベンダーの給料が安い根本理由Photo:Andriy Onufriyenko/gettyimages

政策のリーダーからしてデジタル敗戦状態を認めざるを得ないという、悲しい状況の日本。ハイテク大国ニッポンの地位を取り戻すには、「給料の国際競争力」を高め、優れたグローバル人材を確保することが重要だ。特集『安いニッポン 買われる日本』(全24回)の#5では、日本のハイテク業界の給料の「世界標準の安さ」を浮き彫りにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

「デジタル敗戦国」日本
関連業界の給料も厳しい

 1990年代までの日本は、ハイテク国家と呼ぶにふさわしい国だった。半導体や電子機器の分野で強い競争力を持ち、情報通信分野では「iモード」のような新しいサービスに世界が刮目した。それがいまや、後進国の様相である。

「日本に何かが欠けていたことが顕在化した。私はデジタル敗戦と呼んでいる」。こう率直に語ったのは、平井卓也デジタル改革担当大臣だ。6月下旬に開かれたオンラインセミナーでの発言である。そう認めざるを得ないほど近年の、特にコロナ禍の日本は、デジタルを含むハイテク分野でからきしさえない。

 日本がハイテク国家のポジションを回復するにはグローバルで優れた人材を確保することが重要で、そのためには給料の国際競争力が不可欠だ。

 次ページではビジネスメディア初の試みとして、ハイテク業界の給料動向をグローバル水準と大胆に比較した。また主要企業の平均年収も公開している。