各国政府による金融機関への資本注入や銀行間取引への政府保証、中央銀行による空前のドル資金大量供給により、異常な緊張を見せていた銀行間の資金取引にようやく改善の兆しが現れてきた。最悪期からは脱却を見せ始めた。

 世界最大手のマネーブローカーであるICAPのニューヨークオフィスが集計しているドルの短期金利のインデックス(NYFR)の動向を見てみよう。

 1ヵ月物は9月12日に2・4938%だったが、リーマン・ブラザーズ破綻以降急騰、10月8日に4・8273%まで上昇した。それが10月21日は3・4951%になった。

 ピーク時より約1.37%も下落した。同3ヵ月物はピーク時よりも21日時点で約1.16%下落している。

 また、ドルの3ヵ月物の期間のプレミアム(LIBORとOISレートの開き)も低下。10月10日は3.645%だったが、21日は2.779%に縮小した。

 各国当局の対応によって枯渇していた銀行間のターム物取引の流動性は、少しだが戻りつつある。今後も改善傾向は緩やかにしばらく続きそうだ。

 ただし、欧米金融機関が企業や個人に対して見せているクレジットクランチが本格的に解消されるには、資本の改善が明確に進んでいく必要があり、まだ道のりは長そうである。