では、どうするか。私が心がけていたのが、「半分オウム返しの術」でした。相手が思っていることと、こちらが思っていることが違っていれば、何も解決しないし、ともすればケンカになってしまいます。そこで、まずは相手の言うことを受け止めるのです。
「こうすると、もっといいよ」と具体的に示すことが大切
私は海がいいと思っている。相手は山がいいと言う。そのときに、山のことも認めるのです。山はいいね、空気もきれいだし。その通り、よくわかる、と。でも海は広いよ。世界は海とつながっている、白い砂浜もきれいだし、泳ぐのも気持ちがいい。夏は太陽に当たらないとね、とつなげる。
このとき、山のよさを否定してはいけません。山を受け入れたうえで、海のよさを伝える。海はもっといいんだと説得し、納得させる。これが「半分オウム返しの術」です。相手の言っていることも受け入れつつ、こちらのほうがもっといいよ、という言い方をするのです。
たとえば配属をめぐって、従業員はいろいろな受け止め方をします。イメージのいい売り場に行きたい、という声は多い。ファッションに行きたくて入ったんだという従業員であれば、鮮魚のような部門への配属に抵抗感を持つ場合もある。
そういうときには、まずは従業員の気持ちを受け入れるようにしていました。そうだな、ファッションはいいな、と。ただ、生鮮も一度やっておいたら絶対に勉強になる。なぜなら、鮮度が落ちたら売れなくなるから。捨てないといけなくなるから。衣料も実は本当は腐っている。でも、捨てなくてすむからそれがわからない。どっちが、小売りの勉強ができるか。今、生鮮で勉強しておくことが、ファッションにも生きてくるはずだよ、と。
こうやって話せば、きちんと理解してくれます。そして、理解をしたら中国人というのは行動が早いのです。
言い訳もそう。誰かのせいにすることもそう。まずは受け止めてしまう。それから話をする。そうすることで、中国人とのコミュニケーションは、ぐっと変わってきます。
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