東証再編#7Photo:Imaginechina/時事通信フォト, AFLO

近鉄百貨店が8月、東京証券取引所の市場再編対策として立会外分売を実施した。これにより流通株式比率が高まったことで、近鉄百貨店は「スタンダード」の基準クリアにめどを付けた。だが近鉄百貨店の本当の正念場はこれからだ。親会社である近鉄グループホールディングスとの間で、“自立協議”が始まりそうだ。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#7では、東証の市場再編を契機に紡がれる親と子の物語を追う。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

近鉄百貨店が立会外分売を実施も
東証の市場再編対策は終わりでない

 大阪市街を望む高さ日本一の超高層複合ビル、あべのハルカス。そのビル内に本店を構える近鉄百貨店の動向に今、市場関係者の注目が集まっている。

「近鉄百貨店は、プライム行きを諦めたのか」

 来年4月に控える東京証券取引所の市場再編を前に、近鉄百貨店の株主である金融関係者はそんな臆測を巡らせる。近鉄百貨店は東証1部上場企業だが、再編で新たに最上位市場となるプライムの上場基準に達していないためだ。

 だが、結論から言えば、近鉄百貨店はプライム上場の選択肢を捨てたわけではない。

 鍵を握るのは、近鉄百貨店の親会社――私鉄最大の路線距離を持つ鉄道事業の他、不動産、流通、ホテル・レジャー事業などを展開する近鉄グループホールディングス(HD)――との“親子会議”の行方である。