終身雇用の崩壊で大企業に勤めていても安泰とはいえない現在。転職を経て、年収1000万円超を実現していくには、どんな考え方や行動がポイントとなるのか。ビジネス特化型SNS、LinkedIn(リンクトイン)日本代表で、『転職2.0』の著者でもある村上臣氏に解説してもらった。(構成/ライター 奥田由意)
年収1000万円超を実現するための
「二つの軸」とは
年収1000万円超の人材であれば、まず成果がきちんと出せることは必須条件です。会社は、年収の倍くらいのコストを払って人を雇っています。年収1500万円なら3000万円。それだけのコストを払って、どれほどの利益を出せるのかが問われているということです。
年収が上がれば上がるほど、「どんな課題を解決してビジネスを伸ばすのか」に答えられる、そして期待以上の結果を出すことができる人材かどうかがシビアに見られます。年収1500万円クラスを目指すなら、こうした期待に応えられることは大前提といえるでしょう。
これらを踏まえた上でさらなる年収アップを狙うためには、どのような視点でキャリアを考えればいいのか。ポイントは、「成長領域」と「みんなが困っていることを解決する」という二つの軸です。
成長領域というのは、今伸びている業界・分野に身を置くこと。IT業界が良い例です。例えばEC(電子商取引)の分野は、日本のEC化率は10%未満で、まだまだ伸びしろがあります。業界全体が伸びていればそこにいる人たちは、ほぼ全員、業界の成長の恩恵にあずかることができますし、早くその業界に入ることで業界の中でステップアップしやすくなるという利点があります。
また、みんなが困っていることに関しては、例えばDX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれているように、さまざまな企業がデジタルに関する課題を抱えています。今いる業界や部署でまだデジタル化が進んでいなければ、そこでデジタル化の事業に関わったり、所属部門でデジタル化を進めて実績を出したりすれば、その成果をてこにしたステップアップが可能です。
現在の業務の領域に「デジタル」を掛け算すれば、キャリアの可能性は広がります。そういう能力は希少なので転職の際に大きな強みとなるからです。現在の仕事がデジタルに関係ない人こそ、デジタルのスキルを身に付ける時だといえるでしょう。
この二つはいわば年収アップの正攻法ですが、これらに加えて、実は“飛び道具”があります。