「残念な考え方」を脱出せよ!ロジカルシンキングはビジネス界の共通言語ビジネスの世界での共通言語は、ロジカルシンキングだ。もし斬新なアイデアを受け入れてほしかったら、その実現性やメリット、「なぜそのアイデアが最良なのか」といった疑問に答えられるようにしなければならない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 ビジネスパーソンなら、「なぜなぜ分析」という問題解決手法を聞いたことがあるかもしれない。「カイゼン」を世界に広めたトヨタの流儀のひとつで、問題が発生したら「なぜ」を5回繰り返し、根本的な問題の対策を行うことだ。コロナ禍に見舞われた2020年もトヨタは大きな利益を上げ、「この会社だけ別世界にいるようだ」とまで評されたが、その源泉はまさにカイゼンにあったといえる。

『脱!残念な考え方』書影『脱!残念な考え方』 幸本陽平著 自由国民社刊 1650円(税込)

 しかしロジカルな考え方を身に付けなければ、「なぜなぜ分析」を行うことはできない。「Aという原因によって、Bということが起こっている」という関係を、相当の確信を持って見出さなければならないからだ。

 ロジカルに考えるとは、すなわち「Aは本当にBの原因か?たまたまではないのか?」「Aという原因から、起こるのはBだけか?」といった疑問に、しっかりと答えられるということだ。逆に言うと「残念な考え方」は、ツッコミどころの余地が多い考え方である。「自信を持って言い切る」ためには、ロジカルであることが不可欠だ。

 本書『脱!残念な考え方』ではロジカルであるための要素として、「つながっている・深く考えている・広く考えている」の3つを挙げ、気を付けるべき15のポイントを解説している。これらをしっかり押さえれば、相当ロジカルにものを言えるようになるだろう。そして世にはびこるロジカルでない考え方に対しても、「なぜ?」と言えるようになるはずだ。(ヨコヤマノボル)