医学部&医者2021入試・カネ・最新序列#9Photo:PIXTA

医者にとって、自分のスキルを証明するための大きな武器となる「専門医」資格。この専門医を取得する制度が、2018年から新しくなった。しかし、この「新専門医制度」が、若手のキャリア形成に悪影響を与え、現場を崩壊させるという懸念は大きい。特集『医学部&医者2021 入試・カネ・最新序列』(全21回)の#9では、渦中の日本専門医機構の寺本民生理事長を直撃。内科医不足の元凶、出産・育児との両立の難しさ、地域偏在解消の是非、診療科制限にコロナ対応……制度への批判に余すところなく答えてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 野村聖子)

内科医が減ったのは
新専門医制度のせいなのか?

――制度開始以降、新専門医制度に対する現場の医師からの評判は芳しくありません。そもそもなぜ制度改革が行われたのですか。

 以前は、各診療科などの学会が自由に専門医資格を設けていました。その結果「○○専門医」が増え過ぎたこと、そしてそれぞれの研修プログラムや認定条件にもバラツキがあったために資格の質を担保するとは必ずしも言えないものになってしまったことから、学会ではなく第三者機関が統一の基準で専門医を規定し、国民や患者から分かりやすい制度にしようという目的で、制度改革が行われたという経緯があります。

 そしてその第三者機関として発足したのが現在の日本専門医機構です。

――新専門医制度になってから「内科医が減っている」という現場の批判が大きいように感じますが。