卒業後、地域医療に従事する代わりに、学費が貸与される「地域枠」。地方の医者不足を解消したい国の方針で、さらに今後拡大予定だ。一般入試よりも易しめで、金も学力も心もとない層にチャンスが広がる。また、私立大学で徐々に広がっている「同窓会枠」も、周到に準備すれば新たな狙い目になる可能性を秘める。かつては、“裏口入学”ともやゆされていた手法が堂々復活しているのだ。特集『医学部&医者2021 入試・カネ・最新序列』(全21回)の#10では、資金や学力不足でも医学部にすべり込む手段を紹介する(ダイヤモンド編集部 野村聖子)。
一般入試より易しく学費援助もある
「地域枠」が狙い目
医者になるために必要なのは、学力だけではない。進学する大学によっては、一般家庭ではとても支払えないような学費を用意しなければならないのだ。
医学部6年間の学費は、国公立大学が約350万円であるのに対し、私立大学は一番安い国際医療福祉大学でも約1900万円、最高額の川崎医科大学では4700万円を超えてくる。
そんな学費を払える余裕はないが、偏差値の高い国公立大に合格できる学力もない。だが、どうしても医者になりたい。何か方法はないのだろうか。
実は、本特集#6『医学部偏差値ランキング2021【全82大学】プロの分析による最新入試トレンドも解説』で述べたように、最近の医学部では、地方の医者不足対策として、勤務する地域や診療科など卒業後の進路を縛る代わりに、通常の試験を受ける一般入試とは別枠で受験生を募る「地域枠」が増えているのだ。
さらに、かつては「裏口」とやゆされた「同窓会枠」を堂々と設ける大学も出てきている。しかも、血縁がなくとも活用できる場合もある。
学力優秀層はやはり卒業後の進路縛りを敬遠し、このような枠には寄り付かない傾向があるので、一般入試よりも高い学力は必要ない。しかも、私立大の中には、卒業後に定められた進路で勤務すると、国公立大よりも学費がお得になる大学すらある。
資金や学力不足でも医学部にすべり込むための裏技ともいえる、地域枠や同窓会枠の活用方法を徹底解説する。