ひろゆきが語る「親ガチャ、上級国民…」弱者を救うキーワード・ベスト3ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
全国のベストセラーランキングで続々と1位を獲得し、34万部を突破した著書1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

弱者への攻撃はなくなっていく

 世の中から、弱者を攻撃したり差別したりする言葉が消えていっています。

「デブ」「ハゲ」「チビ」「ブス」などの言葉はテレビでは、ほとんど聞かなくなりました。言われる本人が問題ないと思っていても、おそらく、正義感の強い第三者からたくさんのクレームが来るのでしょう。

 自由な言論空間のように見えるネットの世界でも、つねに炎上のリスクがつきまといます。YouTubeで過激な発言をすると、GoogleによってBANされます。

 クリーンな世の中になることはよいのですが、一方で、キレイに片づけすぎた部屋は落ち着かないもので、若干の息苦しさがあるように見えます。僕自身は、炎上は気にしないし、フランスにいるので、いつも快適に暮らしているんですがね(笑)。

ネガティブワードは広まりやすい

 さて、そんな世の中で、社会的に弱者の人の声は、どんどん大きくなっていきます。日本人の平均年収は右肩下がりになっていますし、コロナの影響もあるでしょう。

 人々の溜飲を下げるには、「キーワード」が必要になります。「下流社会」や「ニート」など、社会はつねに言葉を必要としてきました。

 ひと昔前は、テレビや一部の社会学者がキーワードを生み出していましたが、今は違います。ネット上でできた「スラング」が、SNSによって一気に拡散されて広まります。

 ポジティブな言葉よりも、ネガティブな言葉のほうが共感しやすいのは、脳の仕組み上、仕方のないことです。1000円をもらうことより、1000円を失うことのほうを脳は恐れますからね。

 ということで、ネガティブだけど弱者を救うためのキーワードを3つ、整理しておきましょう。

第3位は「劣悪な環境を指す言葉」

 育ちの悪い人を救う言葉が「親ガチャ」です。遺伝子や生まれた環境、幼少の頃の教育など、人間にとって「選べないこと」が人生において重要な要素になってきます。

 せっかく数学的な才能を持っているかもしれないのに、貧乏でパソコンが手に入らない環境だったり、高校や大学に行かせてもらえないことだって、ザラにあります。

 そんな人たちは「親ガチャがハズレだったわ~」と言って、早く自分で人生をなんとか修正する方向に持っていってほしいと思います。

第2位は「国への不満を表す言葉」

 次に、弱者のあいだで広まったのが「上級国民」です。

 池袋自動車暴走死傷事故を起こした元官僚の人が逮捕されなかったことに端を発し、一気に広まりました。

 これも「親ガチャ」と同じく、育ちなどによる身分によって人々が平等に扱われないことが怒りの根幹にあります。下級国民たちが権力を監視したり、異を唱えるために生まれた言葉です。

 いくら国にとって名誉な人であっても、犯罪は犯罪です。そこで特別扱いされることは絶対に許してはいけません。そのことについて声をあげるためにも、「上級国民」という言葉は必要でしょう。

第1位は「難易度の高さを表す言葉」

 最後は、「無理ゲー」です。人生をゲームに例えることは、僕は賛成です。特に、学校や社会では、与えられた条件や手札でどう戦うかを競わされているわけですから、つねに人生はゲームです。

 お金を稼いで資産を築いて早期リタイアすることが持て囃されています。一時期、サラリーマンは「ラットレースを走るネズミ」のようによく例えられました。

 ただ、そのようなゴールは、そう簡単には達成できません。僕は就職氷河期世代でしたが、買い手市場になって新卒採用が絞られたら、一気に人生の難易度は上がります。

 それなのに、「すべての世代は平等で同じ条件だ」なんて理屈は成り立ちません。そういう世代のために、「これって無理ゲーじゃない?」という言葉は生まれました。

 これからの日本で生きていくことも、ある意味、無理ゲーだと思います。成長が見込める産業や企業は、どんどん少なくなっていき、アメリカや中国が有利になっていく流れは止めることができません。

 そうやって沈んでいく船で楽しく生きるためには、「まあ、こんなの無理ゲーだよね」と言ってさっさと考え方を切り替えたほうがよいと思います。

 以上、3つのキーワードを述べました。いずれも、弱者を救うための弱者の言葉です。強者の人たちは、多少揶揄されても、悠々自適な人生を送っていることでしょうから、軽くスルーしてあげたほうがカッコいいと思いますけどね。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。