私は決して、西洋医学の治療を否定するつもりはありません。極端な話、PCR検査で「陽性」と判明し、病院にすぐ入院できた人は、西洋医学の治療だけでも十分です(もちろん、漢方薬を併用している病院であれば、なおいいですが)。

 ならば、なぜ漢方薬が“最強の切り札”なのか。漢方薬を使用すると、今、新型コロナウイルス感染症対策で難渋している問題の多くを、解決につなげることができるからです。

 感染症のパンデミックを収束させるには、世界の誰もがワクチンを受けられるようになる必要がありますが、いまだその状況にはほど遠く、しかも特効薬も完成していない現状では、新型コロナウイルス感染症の「予防」に使える薬は、漢方薬しかありません。

 実は漢方薬は、ワクチンに勝るとも劣らない予防効果があります。ですから、ワクチンの接種が済むまでは、漢方薬で上手にやりすごし、ワクチン接種を終えたあとも、漢方薬を服用し続けることで、今後の新型コロナウイルス変異株に対しても二重の鉄壁で強力に防御することができます。

漢方薬は新型コロナ感染後の治療にも効果的!

 さらに漢方薬は、感染予防や、ワクチンの副反応に対して奏効するだけでなく、感染したあとの諸症状にも大きな効果を発揮します。本来、こうした感染後の治療は、病院で行われるべきものです。

 しかし、コロナ禍においては、感染者数が急増するたびに、保健所や医療機関がパンクし、治療の必要な患者さんが、ホテルや自宅での待機を余儀なくされるケースが少なくありません。これは非常に大きな問題です。新型コロナウイルス感染症は、命に関わる病気だからです。一見、軽い症状に見えても、急速に悪化する例が多く、これがこの病気の恐ろしいところでもあります。

 それなのに、疑わしい症状が発現しても、近所のクリニックへ気軽に駆け込むことはできない。保健所に電話してもつながらない。それどころか、変異株がすごい勢いで広がると、中等症のうちで酸素吸入を必要としない人は、入院はおろか、ホテル療養もできずに、基本的に自宅療養という、ほとんど放ったらかしと同じ状況に置かれてしまいます。