時価総額で国内製薬2位の第一三共が新中期経営計画を発表した。がん治療薬がメインビジネスの会社に変貌し、2026年3月期までに売上高1兆6000億円を目指すというもの。この中計から大衆薬事業とジェネリック医薬品事業の見切り時も透けてくる。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

5年で売上高1.5倍超の新中計
時価総額ではすでに武田を上回る

第一三共株式会社時価総額で国内製薬2位の第一三共が新中期経営計画を発表。2026年3月期までに売上高1兆6000億円を目指す Photo by Masataka Tsuchimoto

 国内製薬大手である第一三共が第5期の中期経営計画を発表した。2026年3月期までの5年間を対象とした新中計の目標は、最終年に売上高1兆6000億円、研究開発費控除前の営業利益率40%。21年3月期の予想売上高は9600億円であり、実に1.5倍超を目指すことになる。

 掛け声こそ勇ましいが、第一三共は07年に三共と第一製薬が完全統合して以降、中計未達が常態化している。「中計は夢を語るもの」と、ある第一三共関係者は苦笑いしつつも「それにしてもこれまでの中計で一番根拠がある」と自信をのぞかせる。

 4月19日終値時点の時価総額は約6兆3500億円。売上高や利益で負ける武田薬品工業やアステラス製薬を時価総額でははるかに上回っている。株価を引き上げている期待の薬が、全体の成長を押し上げるというもくろみだ。

 では5年後、どんな姿になるつもりなのか。

 眞鍋淳(すなお)社長兼CEO(最高経営責任者)は新中計の発表会見で、主力の医療用医薬品事業に加えて、大衆薬(OTC医薬品)事業と後発(ジェネリック)医薬品事業の今後について意味深な発言をした。