不要?生き残る? ITベンダー&人材 大淘汰#9Photo:photolibrary

中小・中堅企業向けソリューションが強い大塚商会、クレジットカード向けの基幹システムで高シェアのTIS……。戦場や武器を絞りゲリラ的な強さを発揮するのが「ブティック型」ベンダーだ。総合型の大手ベンダーでは淘汰が始まっているが、実はブティック型の中でも明暗が生じ始めている。特集『不要?生き残る? ITベンダー&人材 大淘汰』(全16回)の#9では、各社の強みと弱みを浮き彫りにした。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

本当に強い「ブティック型」はどこ?
各社各様の強みと弱みを明るみに

 大手総合型ITベンダーの「百貨店モデル」は今後淘汰が進み、優勝劣敗がはっきりしていくだろう。

 従来型の「何でも手掛けるご用聞き」のような受託開発だけでは立ちいかなくなる。というのも、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の本質は事業会社のIT内製化」(SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリスト)であり、その際、大手ベンダーはコンサルティング力を備えることが必須だからだ(詳細は特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』#7『NTTデータ・野村総研……DX勝者は一握りで「御用聞きベンダー」は淘汰へ、IT業界の5年後』参照)。

 一方で、コンサル化の潮流とは関係の薄いベンダーもある。一口にITベンダーと言っても、そこには戦場や武器が全く違うプレーヤーがいるのだ。その中でも、独特な立ち位置にいるのが、ゲリラ的に戦い方を絞って強力な立ち位置を築く「ブティック型」ベンダー。特定の分野や機能で他社より圧倒的に有利なシェアやノウハウを誇っていて、百貨店型の大手とガチンコでは戦う必要がない。

 では、大手の淘汰の荒波に巻き込まれないブティック型は総じて強くて安泰なのか。決してそんなことはない。

 ブティック型の有名企業としては、中小・中堅企業向けソリューションに強い大塚商会、クレジットカード向けのシステム開発で高シェアを握るTIS、統合基幹業務システム(ERP)「OBIC7」が主力のオービック、「オラクル」のブランド名が世界的な日本オラクルなどが挙げられる。

 実はこれらの企業の中でも、既に明暗が生じ始めているのだ。

 戦い方や武器は各社各様だが、一見しただけではもうけの仕組みなどが分かりづらい。そこで次ページ以降、各社のビジネスモデルや生存戦略、その将来性までトップアナリストの分析を基に開陳。本当に強いブティック型ベンダーはどこなのか、各社の強みと弱みを浮き彫りにする。