中国の電力制限が、すでに混乱をきたしている世界のサプライチェーン(供給網)にとって新たな波乱要因となっている。生産過程でエネルギーを大量消費する製品では、コスト増大や値上がりの影響が早くも表れている。中国当局が最終的にどのような対応を取るかによって、追加コストの一部は恒久化しかねない。電力制限が広がっていることで、中国の製造業はすでに打撃を受けている。国家統計局が30日公表した9月の製造業購買担当者指数(PMI)は2020年2月以来初めて、景況改善と悪化の分岐点である50を割り込んだ。中国では現在、広東省や浙江省といった製造業拠点を含め、多くの省が工場の電力使用を制限している。政府がエネルギー消費量の抑制を目指しているためだ。石炭や天然ガスの価格高騰も電力供給の足かせとなっている。これはすでに混乱している世界のサプライチェーンにさらなる逆風となる。「国慶節(建国記念日に相当)」の休暇を前に、製造業の生産活動が一段と支障をきたすだけではない。上流に位置するエネルギー大量消費型のセクターにおけるコスト増大が下流のセクターにも波及し、一部のエンドユーザーの価格を押し上げている。供給制約や経済再開に伴う需要の急回復を背景に、資源価格は今年に入ってから高騰している。