探究型授業とは、子ども同士の対話を生かしながら課題を解決していくスタイルの授業である。秋田県では、国語や算数・数学などをはじめほとんどの教科で、この探究型授業が行われている。2017年の学習指導要領では「対話的な学び」の授業を進めるべきだという提言がされたが、探究型授業はその典型的なかたちであり先駆けといえる。

 全国学力・学習状況調査では、子ども一人一人に児童・生徒質問紙、各学校に学校質問紙が配布され、それに答えるという調査も含まれる。次の質問をみてほしい。

秋田県の子どもの学力が「13年間連続トップクラス」なワケ

 秋田県は、上記の質問で「当てはまる」と答えた子どもの割合が小・中ともに全国で最も高かった。探究型授業が、スタンダードなものとして県内全域で行われていることの証拠である。そのため、秋田の子どもたちは、自ら考えを深め記述して答える設問に強い。

 ここで今年の全国学力・学習状況調査の記述式設問における秋田県の平均正答率を確認しよう。

秋田県の子どもの学力が「13年間連続トップクラス」なワケ

 秋田県は記述式設問での正答率が、全国平均よりもかなり高いことがわかる。さらに同じ記述式でも、国語では複数の情報を関連させながら答える設問、算数・数学では数式の意味を言葉でわかりやすく説明する設問などで、全国平均をより大きく上回る好結果を出している。これはOECD(経済協力開発機構)が2000年に始めた国際学力調査PISA(生徒の学習到達度調査)でも、特に重視されている高次の学力要素である。

 また、秋田県は無回答率も他の都道府県に比べたいへん低い。今年の全国学力・学習状況調査で秋田県は、小学校・中学校の全ての教科でもっとも無回答率が低かった。

 秋田県の無回答率の低さも探究型授業に深く関わっている。

秋田県の子どもの学力が「13年間連続トップクラス」なワケ

 探究型授業では、学習課題を子どもと先生で決める。その後、課題についてまず一人で考え、次にそれをグループで検討する。その結果を学級に発表して話し合うという過程を繰り返しながら、課題の解決をはかっていく。そして、最後に学びを振り返り文章にまとめる。

 普段からこのような授業に参加している秋田県の子どもたちは、難しい課題に挑戦することが当たり前となっている。だから、全国学力・学習状況調査の中で難しい設問に当たっても、ひるまずに自分の力で答えを模索しようとする。