7-9月期の為替相場
ドルは9月に持ち直し
まずは今年7-9月期を振り返ってみよう。中国では景気減速懸念に加え、不動産開発大手の信用不安が拡大。資源価格の下落もあって、豪ドルやカナダドルなどの資源国通貨が下落した。欧州では、ECBが新たな金融政策戦略の下でインフレ目標を上方修正。フォワードガイダンスの強化により利上げ開始期待が後退したことからユーロも軟調となった。
一方、ドルは前四半期末対比でほぼ横ばい。米国景気は新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に下振れ傾向となり、米金利も低下基調となったことからドルは軟調で推移したが、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でタカ派的な見方が示されドルをサポートした。
7-9月期が始まった時点で筆者は注目点として以下4つを指摘していた。
(1)新型コロナウイルスの感染再拡大がリスクオフにつながらないか。
(2)4-6月期に想定以上に加速したインフレ率が鈍化するか。
(3)米国のテーパリング開始に向けた動きがドル続伸につながるか。
(4)中国景気は減速するのか。
7-9月期の為替相場は、(1)と(4)を受けたリスクオフの動きが支配的となった。ただ同時に、米国でインフレが減速せず高止まり(2)、9月のFOMCでのテーパリング開始の早期化方針が示された(3)ことが、ドルの持ち直しにつながった。