ピンクリボン月間です、マンモ+超音波の有効性は?Photo:PIXTA

 ピンクリボン月間だ。日本では40歳以上の女性に2年ごとの乳がん検診が推奨されている。コロナ禍で、検診機会を逃さないよう気をつけたい。

 乳がん検診ではマンモグラフィー(マンモ:乳房エックス線撮影)が使われるが、乳房を挟む「痛い」イメージが先行して敬遠されがち。最近は、マンモと痛みがない超音波検査を組み合わせる自治体が増えてきた。

 一般にアジア人女性は、乳房の脂肪組織が少なく乳腺組織が豊富な「高濃度乳腺乳房」が多い。マンモでは乳腺組織が白く映し出されるので、早期がんが白い影に紛れ「見逃しリスク」が生じる。

 一方、超音波検査は乳腺濃度に関係なく早期がんを検出できるが、検査技師の技量に左右されるリスクがあった。そこでマンモと超音波検査を組み合わせ、検診の精度を上げる試みが続いている。

 東北大学の研究グループは、マンモ単独群とマンモ+超音波追加群での検査精度を比較。2007~20年に登録された1万9213人の40代女性(平均年齢44.5歳)のデータを分析している。このうち59.3%は、乳腺がまずまず高濃度の「不均~高濃度」もしくは「極めて高濃度」の乳房の持ち主だった。

 解析の結果、乳腺の濃度にかかわらず追加群の検査の感度が有意に高かった。つまり「見逃し」が少ないわけだ。追加群で検診と検診の合間に見つかる「中間期がん」が少なかったことからしても見逃しリスクは低いと思われる。

 一方、追加群では逆に「見つけ過ぎ」になりやすく、「要精密検査」率や乳房組織を針で採取して検査を行う「生検」率が高かった。

 気になるのはマンモもしくは超音波単独では、病変を見つける確率が両者とも80%に届かなかった点だ。2~3割が見逃される可能性があり、研究者は「乳腺濃度にかかわらず40代の女性は併用検診が考慮されるべき」としている。

 がん検診は常に「見つけるリスク」と「見つからないリスク」のせめぎ合いだ。生検リスクを許容できる場合や近い血縁者にがん経験者がいる方は、マンモ+超音波検診を選択肢に入れておこう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)