見晴らしや快適性だけではなく
安全性を重視しよう

 例えば、河原や中州にテントを張るのは要注意だ。1999年に起きた玄倉川水難事故のように、悪天候や急な増水による不幸な事故は後を絶たない。また、雨や強い日差しを避けて大きな木の下にテントを張るのも、決して安全だとはいえない。なぜなら木の下は落雷の確率が高いからである。

 他にも、眺めが良いからといって、吹きさらしの丘の上にテントを張るのも危険である。風の影響を受けやすく、テントごと吹き飛ばされてしまう可能性があるからだ。当然ながら崖や急斜面においても、大雨などの影響で地盤が緩んでいる可能性があり、落石などの危険が伴う。

覚えておかないと危険!
ガスコンロの置き場や正しい使い方

 ガスコンロの置き場や扱いについても注意が必要だ。例えば、雨や寒いことを理由にテント内でガスコンロを使用するのはもってのほかである。テント内で使用すれば、一酸化炭素中毒の危険性が伴う。

 また、複数のガスコンロを並べて置くのも避けよう。互いのストーブから出る熱や鍋底から出る輻射熱(ふくしゃねつ)によって、ガスカートリッジが過熱され、破裂してしまうリスクがある。

キャンプブームと並行して
無知ゆえの事故も発生している

 キャンプブームと並行して、無知識や準備不足による事故も近年相次いでいる。ここでは、実際に事故に見舞われてしまったときの対処方法や、事前の対策について解説する。

実際に道に迷ってしまったときに
やってしまいがちなNG行動

 まず、まだ明るいからといって昼間でも油断は禁物である。山岳での遭難は午前11時と午後2時が多く、これら2つの時間は「魔の11時」「魔の2時」とも呼ばれている。山岳遭難事故統計によると、特に午後2時は昼食後、最も注意力が散漫になりやすい時間帯であると考えられている。

 また、万が一遭難事故に遭ってしまった場合、動き回るのはNGだ。遭難をしてしまった場合、元来た道を引き返すのが最良の策である。来た道が分からない場合は、雨風を避けられる場所で救助を待とう。

 山岳遭難事故において、下山をしたくてひたすら下り続けるというのも、遭難をより深刻なものにさせてしまう大きな要因の一つである。この場合、電波がなくなりがちな谷ではなく、尾根を目指すのがベターだ。